黒い画面に、白い文字でプログラムを入力する。そのハードルさえ乗り越えれば、誰でも使える便利なソフトがある。それがPandocだ。
Wordをhtmlに自動変換したり、MarkdownをPDFに変換できる。一度文章を作っておけば、それを変換して、あらゆる拡張子でアウトプットができる。
メモ書きしたMarkdownを、Wordに変換して議事録として提出できる、と聞いたら熱くなってしまう人もいるのではないだろうか。わたしは熱くなる!
しかも無料。ただし、コマンドプロンプトやターミナルでの操作が必要になる。あの「黒い画面に白い文字」に抵抗を感じる人は多いはずだ。そこで今回は、Pandocをインストールする方法をなるべく簡潔にご紹介する。Windows環境でのインストール解説になるので、ご了承願いたい。Macでも解説したいのだが、わたしが使っているm1MacBookは、Pandocサポート外。インストールができなかった。無念。
こんな人向け
- 「フォルダのパス」と聞かれて理解できる
- 隠しフォルダを表示する方法は、ググれば理解できる
Pandocとは
無料ソフト。テキストに関するファイルを、違う形式に変換する。Wordで作ったファイルをHTMLにしたり、テキストをPDFにしたりできる。2021年の今でも、定期的にアップデートされている。
多くの拡張子に対応しているのが特徴だ。テキストに関するファイルなら、なんでもサポートしているのでは、と思えるほど。Word互換ソフトのOpenOfficeやLibreOfficeの独自拡張子にも対応していたりする。オープンソース開発らしい対応の幅広さだ。
以下に、2021年4月時点での対応拡張子をまとめた。インストール前に、対応しているか確認いただきたい。
<変換元としても、変換先としても対応>
- Markdown
- reStructuredText
- Emacs Org-Mode
- Emacs Muse
- Textile
- (X)HTML 4
- HTML5
- EPUB version 2 or 3
- FictionBook2
- Haddock markup
- roff man
- LaTeX
- DocBook version 4 or 5
- JATS
- OPML
- BibTeX
- BibLaTeX
- CSL JSON
- CSL YAML
- Microsoft Word docx
- OpenOffice/LibreOffice ODT
- Jupyter notebook (ipynb)
- MediaWiki markup
- DokuWiki markup
- Jira wiki markup
<変換先のみ対応>
- AsciiDoc
- GNU TexInfo
- roff ms
- ConTeXt
- TEI Simple
- OpenDocument XML
- Microsoft PowerPoint
- InDesign ICML
- XWiki markup
- ZimWiki markup
- LaTeX Beamer
- Slidy
- reveal.js
- Slideous
- S5
- DZSlides
- Custom formats
<変換元のみ対応>
- txt2tags
- TikiWiki markup
- TWiki markup
- Vimwiki markup
- CSV tables
Pandocのインストール方法(windowsメインで解説)
まず、公式ホームページからPandocをダウンロードする。Win64bitをお使いなら、64.msiを。Macをお使いならmacOS.pkgをダウンロードする。
ダウンロードが完了したら、ファイルを起動する。インストール画面が開いたら、利用規約に同意(I accept the terms in the License Agreement にチェックして Installボタンをクリック)。細かい設定は変更せずにインストールしよう。この辺りのインストール操作については、こちらのサイトも参考になる。
インストーラーが終了した後も、まだやることがある。windows版では、インストールが完了した後も、コマンドプロンプトを使って設定が必要です。もうちょっとなので、頑張って!
ここから先の内容は、こちらの動画を参考にしながら進めていただきたい。英語の解説動画だが、画面をみて同じように操作するだけでも十分いける。
まずは、Pandocをインストールしたフォルダの場所を特定する。デフォルトでは「Cドライブ>ユーザー>ユーザー名>AppData(隠しフォルダになっている)>Local>Pandoc」にあるはず。パスを控えて、次に進む。
コマンドプロンプトを起動する。windowsボタンを押して「コマンドプロンプト」と入力すれば見つかる。コマンドプロンプトに「cd (半角スペース)+(先ほど控えたパス)」を入力して、操作するフォルダを移動する。コマンドプロンプトの優しい解説はこちら
C:/Users/ユーザー名/AppData/Local/Pandoc のフォルダに移動できたら、「pandoc –help」と入力してみよう。インストールが正常に出来ていれば、Pandocに関するヘルプ記述がズラーっと表示される。
次にパスを通す作業を行う。(参考動画の3分5秒くらいから)「set PATH=%PATH%;C:/Users/ユーザー名/AppData/Local/Pandoc」と入力する。C;から先は、Pandocがあるフォルダパスだ。次に「cd ..」と入力する。うまくいけば、操作するフォルダが、C:/Users/ユーザー名/AppData/Local になっているはず。もう一度「pandoc –help」と入力して、動作するか確認してみよう。ここまでいけば、インストールは完了。お疲れ様でした。
テストをしてみよう。参考動画の3分50秒からを参考に、テスト用のテキストファイルを、HTMLに変換する。ここまで出来た読者は、あとは動画のとおり進めていけば無事に完了するはすだ。
テストがうまくいけば、あとは簡単。Pandocのデモページを参考に、プログラムを入力する。たとえば、MarkdownをWordに変換したいなら。例の29のプログラムをちょこっと変換する。「pandoc -s MANUAL.md -o example29.docx」と入力すれば動く。
こんな時に便利。Pandoc。
わたしが愛用しているのが、MarkdownからWordへの変換。メモとしてのMarkdownは、当人だけがみるメモ書きとしては非常に便利なのだが、印刷には適さない。「**(アスタリスク)で囲まれたら太字です」などと注記を書くわけにもいかない。
Markdownのメモを、印刷用に清書しなくては! そんなときに、Pandocが大活躍する。見出しはもちろん、太字まで反映されてWordに変換できる。Wordは見出しの大きさやフォントを一括で変更できるため、体裁を整える時間を短縮できる。オススメだ。
Pandocのメリットとは。1つファイルがあれば、どんなアウトプットにも対応できることだ。求められる提出方式が、Wordだろうと、なんだろうと、好きなように変換できる。テキストだろうが、Markdownだろうが、とにかく文字にしていれば良い。毎日使うようなソフトではないが、インストールしておくと、いざという時に頼りになる。Pandocとは、そんなソフトだと思う。
まとめ:Pandocを使いこなそう!
Wordをhtmlに自動変換したり、MarkdownをPDFに変換できる。一度文章を作っておけば、それを変換して、あらゆる拡張子でアウトプットできてしまう。事務仕事だけでなく、作家業でも活躍するだろう。誰でも、無料で使える。
「黒い画面に、白い文字」にハードルを感じる人は多いと思うが、その面倒臭さを乗り越えてでも使ってみたい、便利なソフトである。ぜひ、チャレンジしてみていただきたい。
»Pandoc公式ホームページはこちら
»Pandocのダウンロードはこちら

「日本一変なキャリアの元公務員」
北海道在住のライターです。
olbb(株)取締役、ガクマーケティング代表
市役所と北海道庁職員を併任した後、WEBマーケターに転職。2年後に独立し、現在はライター&経営者をしています。
「働き方をもっと自由に、だけど堅実に」がモットー。
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